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2010年12月29日

2007/01/11/16/42 ウナギの嗅覚

夜になって、水槽を眺めていると、ウナギが2~3匹うろつき始めました。
やっぱり餌がほしいようです。
そこで、実験を行う事にしました。前回の仮説が正しければ、冷凍アカムシの溶け出したディップに反応するはずです。水槽の容量は、およそ20L。水流あり。大多数は、砂利の中や土管の下に身を潜めている状態。水温19度という条件です。冷凍アカムシのカップの隙間に切れ目を入れ、溶け汁が滴下できるようにする。一滴の大きさは、おそらく0.05cc程度と推定。
一滴、滴下する。水槽内に少量の赤い雲ができる。10秒後、拡散にともなって、見えなくなる。ウナギには、変化なし。30秒後、2滴目を添加。15秒して、水槽内があわただしくなる。隠れていたウナギたちが、水中を激しく遊泳し始める。三十秒後、おそらくすべてのウナギがあわただしく水槽内を泳ぎまわる。その光景は、あたかも餌を探してるかのようであった。更に、二滴を追加する。ウナギたちは狂ったように、水槽内を泳ぎだす。その行動様式は、普段ウナギたちが餌を求めている時のそれと酷似する。もう一本ある、水槽で同じ実験を繰り返す。結果は、同じであり、2滴で猛烈な反応を示し、4滴以上になると、すべてのシラスウナギが巣穴から抜け出して、餌を探し回る。かなりの嗅覚の持ち主である。ディップだけでは、かわいそうなので、アカムシを投入してあげる。どちらの水槽もウナギたちはむさぼるようにアカムシを食べた。食後、すべてのウナギは、水中から消えHOMEポジションに戻った。水中にはウナギの姿は見当たらない。
予想はしていたが、かなりの嗅覚に驚いた。ただ、正確には、味覚の可能性も捨てきれない。いずれにせよ、水中の溶存物質を感知して行動していると考えられる。
ちなみに大雑把な計算をしてみよう。
水槽の水を20Lとすると媒質は、20kgに相当する。
ディップ一滴が、0.05ccとして、大部分が水分と考えると、およそ0.05gになる。
水槽に対すディップの重量比は、2.5X10のマイナス6乗になり、2.5ppmとなる。
既に、書いたように、ディップ自身が大部分水であると考えると誘引物質の相対濃度が
更に低くなる。誘引物質がその中の1/1000程度だと仮定すると2.5ppbとなる。
想像できない濃度だと思うので、たとえ話をする。
1ppmとは、1tの水に1gの物質が溶けている状態である。つまり、1m四方の水槽に蒸留水をはって、小さじ半分の食塩を加えたときの濃度と思ってください。水深1mで横幅20mX長さ50mのプールを考えよう。この中に、小さじ半分の物質を溶かした時の濃度1ppbである。ウナギたちは、50mプールに溶かした、小さじいっぱいの物質を識別している計算になる。
お~~~~~~~!
小さいのに、結構やるもんだ!
しかし、一見するとすごい数字に見えるが、空気中を漂う物質の相対重量を計算するとやはり同じような濃度になるのかもしれない。いずれにせよ、生物センサーは、人間の分析機器よりも格段に優れているのかもしれない。

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